
「バウムクーヘンが縁を結んだ"広島-神戸-横浜"」
先月、息子の結婚式のため一時帰国しました。
場所は息子とお嫁さんが住んでいるいる横浜(みなとみらい)でした。
新郎の父親として、最後にスピーチをしなければならなかったのですが、何を喋ったらよいかと思案していたとことろ、9年前に書いたコラムのことを思い出しました。
それは、ユーハイムのバウムクーヘン誕生秘話です。
日本本社は広島、息子が生まれ育ったのは神戸、お嫁さんの実家は横浜、というわけで、この3都市を結ぶ縁は非常に喜ばしいことだと言うために、ユーハイムの誕生秘話を盛り込んだらどうだろうと考えました。
そう思いついたのが結婚式当日。手元に原稿もなく、ぶっつけ本番でしたが何とかなったのではないかと思います(冷や汗)
ユーハイムは神戸(関西)では有名なんですが、関東はそうでもないみたいですね(残念)
以下、2010年1月18日に執筆したコラムです。(懐かしいです)
私は「バウムクーヘン」が好物のひとつです。
どちらかというと、辛党の私はケーキや和菓子など普段は好んで食べませんが、
バウムクーヘンだけは昔から好きです。
幼少の頃、初めてそのバウムクーヘンなる物を食した時、世の中にこんな美味い物があるのかと感動したことを覚えています。(かなりいなかもんですね)
先日、NHKの「歴史秘話ヒストリア」という番組を見ました。
ドイツ伝統のお菓子であるバウムクーヘンがどのようにして日本にもたらされ、広まったのかを歴史的事実に基づき編集されていました。
内容のほとんどが知らないことばかりでしたので、とても興味深く見ることができました。
バウムクーヘンといえば「ユーハイム」がすぐ頭に浮かびます。
少し前から行列の出来るお店で注目の東京の「ねんりん屋」では決してありません。
「ユーハイム」は神戸が本店で、日本各地のデパ地下等全国展開されているお店です。
そのユーハイムが日本のバウムクーヘンの元祖なのですね。
私はてっきりドイツが本店の外資系チェーンかと思っていました。
番組ではカール・ユーハイムさんとその妻のエリーゼさんのバウムクーヘンに対する情熱と戦争や災害による苦悩が描かれていました。
カールさん一家は時代に翻弄され続けた生涯だったようです。
ドイツ→中国青島→広島→東京・横浜→神戸と戦争・震災・空襲の度にその地を追われ、転々と拠点を変えざるを得なかった境遇は想像を絶します。
この番組で紹介されたエピソードでいろいろなことを知りました。
・当時、中国の青島はドイツの租借地として、ドイツ人が一旗揚げようと移住する土地であったこと。
(しかし、第一世界大戦の勃発で日本軍が青島を占領し、ドイツ人は捕虜として日本に送られた)
・広島市物産陳列館(原爆ドーム)の出展で初めて日本人がバウムクーヘンを知ったこと。
(ある意味、広島が日本での発祥地と言えるかも知れませんね)
・関東大震災の被災者を神戸が積極的に受け入れたこと。
(横浜と神戸は同じ港町で、外国人居住者が多いという類似点もあり、以前から民間人の交流が盛んだったようです)
こういったエピソードを交え、学校で歴史を教えればもっと興味を持って学べるのではと思います。
縄文・弥生時代より近代史、現代史が本当は面白いと思うのですが、授業ではあまり時間をかけないようです。
時代が近すぎること、また戦争解釈の問題もあり教えにくいのかも知れませんが・・・?
この番組を見た後、食べたくなり早速デパ地下に買いに行きました。
(結構、単純な性格です)
お店のショーウインドウには生誕100周年記念の限定品が置かれていましたが、昔からある普通のものにしました。久し振りに食べたバウムクーヘン、正直歴史を感じるとまでは思わなかったものの、素朴で優しい味です。
ほとんどは娘に食べられ、ほんの一切れだけでしたが・・・。
*その娘も昨年結婚しましました。いつの間にか歳を取ってました(笑)
2019年3月4日(月) 長井